FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ創刊にあたって
フィールドワークは、世界中に自らおもむき世界を探究する方法です。現在日本にはさまざまな分野でフィールドワークを行なうフィールドワーカーたちがいます。彼らは世界中で得難い経験を積み重ねてきました。しかし、その経験は残念ながらあらゆる分野や学界・産業界の壁を越えて広く伝わっているとは言えません。
このシリーズを企画したのは研究者フィールドワーカーたちが立ち上げたグループFENICS (Fieldworker’s Experimental Network for Interdisciplinary CommunicationS )です。フィールドワークに興味がある人、これからフィールドワークをしたいと思っている人、ほかの分野のフィールドワークの知識や技術を学びたい人、フィールドワーカー同士で役立つ情報を交換したい人すべてに、私たちの経験を届けたい。そんな思いをもつ私たちの活動に賛同してくださった古今書院の関秀明さんのバックアップにより、15巻におよぶ、あらゆる分野を横断するフィールドワーカーシリーズが発刊される運びとなりました。
私たちFENICSは、フィールドワークの方法や視点、思考を互いに学び議論しあい、また地域に特有な情報、経験知などを交換したい、と活動し始めました。立ち上げに関わったのは自然地理学、雪氷学、社会-文化人類学、人類生態学、民族植物学、地域研究といった、まさに分野を横断するフィールドワーカーたちです。人が人をつなぐことで出会った私たちは、それぞれのフィールド話、研究活動の話に湧き、ネットでは得られない情報を、そして生きるエネルギーをお互いもらってきました。ーーこの知的興奮を、研究者の世界だけに閉じず、もっと多くのフィールドワーカー、さらに外の世界に関心のある産業界をはじめ幅広い方々に伝えたい。そしてFENICSの輪に入ってもらい、ともに経験したい。そうすればフィールドワーカーの計り知れない豊かな経験知があらゆる分野、業界につながり新たなもの/モノを作り出せるのではないか――。そんな希望を、私たちは持っています。
本シリーズは、まさにそのはじまりです。フィールドワーカーになりたいあなた、他分野から異なる発想を得たいあなたも、ぜひFENICSのムーヴメントに参加しませんか。
FENICS代表 椎野若菜