2022.7.3(日) FENICS×志縁の苑×ジェンダー人類学研究会
 
「女性史家 もろさわようこの築いた『歴史を拓くはじめの家』を知る」

趣旨:
長野県出身、女性史研究家のもろさわようこさんは、現在97歳。  

もろさわさんは、市川房枝が1954年7月に創刊した『婦人界展望』(のちに『婦人展望』、現在は『女性展望』)編集者を経て、その後『おんなの歴史――愛のすがたと家庭のかたち』上・下(合同出版、1965〜1966年)を発表。『信濃のおんな』上・下(未來社、1969年)で第23回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞。『おんなの戦後史』(未來社、1971年)、新編 日本のフェミニズム10 女性史・ジェンダー史』(岩波書店、2009年)にも論文が一部再録されている。昨年、『新編 おんなの戦後史』が信濃毎日新聞の河原千春記者とともに発表された。

 「女性史」が市民権を得ていき、アカデミズムで活躍する女性研究者が興隆する一方で、もろさわさんは在野で日本全国の公民館等で講座や講演活動、ジャーナリズムでの言論活動を行った。そのなかで、もろさわさんの言葉に惹かれ、感化され学びを得た女性たちが全国に現れることになる。そうしたなかで1982(昭和57)年に「無組織・無規則・無会費」の方針で長野県佐久市望月に「歴史を拓(ひら)くはじめの家」を開設。人権、平和、男女平等など、さまざまな問題を抱え取り組む県内外の人たちが、勉強会などを開き交流する場となってきた。94年に沖縄県の「歴史を拓くはじめの家うちなぁ」を、98年に高知県の「歴史を拓くよみがえりの家」を開設した。血縁、地縁でもなく、「はじめの家では、志を通じての縁『志縁』でつながる」というもろさわさんの言をもとに活動が繰り広げられ、現在は一般財団法人「志縁(しえん)の苑(その)」となっている。今年は「歴史の拓くはじめの家」が開設されてちょうど40年をむかえる。
 こうした全国的な運動に直接触れることができなかった、ジェンダーに関心のある中堅の人類学者らが、この「歴史を拓くはじめの家」という場を拠点とする、「志縁」による人々のつながりにせまりたいと考え、そのための第一弾を7月3日に開催する。

 
於:「歴史を拓くはじめの家」(長野県佐久市望月804番地7)  

日時:2022年7月3日(日) 10時~13時  
  
 
スピーカー:
・依田弘子さん 
 一般社団法人 志縁の苑理事、事務担当。子どもの人権教育プログラムCAPながの元代表、現在は学習塾主宰、心理カウンセラー。
  
・山之上俊枝さん 
 一般社団法人 志縁の苑評議員、「歴史を拓(ひら)くはじめの家」管理担当。元福祉施設職員。現在は次世代を見据えて自然農に取り組む。  
  
・梅原孝司さん
 元中学教員、老人福祉施設職員。一般社団法人 志縁の苑とは高知県の「歴史を拓くよみがえりの家」にかかわり始め、6年前に高知より長野に来て、「歴史を拓(ひら)くはじめの家」にかかわり始める。
  
・源啓美さん
 一般社団法人 志縁の苑評議員。元ラジオ沖縄プロデューサー。沖縄9条連共同代表、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会事務局長。志縁の苑の評議員、沖縄県「歴史を拓くはじめの家うちなぁ」の運営にかかわる。
  
*第二弾は、9月10日(土)13時~の予定です。(ハイブリッドの予定)
 
企画者:國弘暁子(早稲田大学/FENICS)、碇陽子(明治大学/FENICS)、菅野美佐子(青山学院大学)、椎野若菜(東京外国語大学/FENICS)、松前もゆる(早稲田大学)
 
 
主催:ジェンダー研究会 supported by 早稲田大学研究助成「性愛二分法へのジェンダー人類学的研究からの挑戦」(代表:國弘暁子)
共催:NPO法人FENICS
連絡先:fenicsevent@gmail.com