FENICS メルマガ Vol.126 2025/1/25 

 
 
1.今月のFENICS
 
 2025年、初めてのメルマガです。今年、FENICSはNPO法人として出発して10年となりました。FENICSをたちあげたメンバーたち、またFENICSに関わってくださった方々も、この10年で大きな変化がありました。  
 FENICSイベントで出会った方々、それを機にメルマガに書いてくださった方々、一緒に企画をした方々。仕事や家庭、目指すもの等々、立場や状況はつねに変わりますが、FENICSという「フィールドワーク」を軸とする活動体に、いつでもアクセスしてください。
  放課後のような場、発信する場、異分野からのヒントを得る場、次のステップに迷ったときに立ち寄る場--関わり方で、さまざまな形でご参加いただけるような存在でいたいものです。コロナ禍を経て、オンラインと対面、それぞれの長所も利用しながら、互いの経験、知恵が生きるように、今後も「フィールドワーク」を基軸に、活動をしたく思います。また、運営に関してもご提案をすることと思いますが、宜しくお願いいたします。
 
 今号は学部生でガーナに行っている山下さんからフレッシュなレポート、またライフイベントと家族の状況と調査研究の折り合いをつけながら、子連れフィールドワークを始めた松井さんから、ご寄稿いただきました。イベントリポート、イベントの告知、充実した内容です。お楽しみください。
 
 それでは、本号の目次です。
 
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1 今月のFENICS
2 私のフィールドワーク(連載①)(山本貴仁)
3 子連れフィールドワーク(連載①)(松井生子)
4 FENICSイベントリポート(韓智仁)
5 FENICSからのお知らせ
6 会員の活躍
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2. 私のフィールドワーク
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ガーナのクリスマスと年越し
 
  山本貴仁(東京外国語大学/ガーナ大学 学部生)
 
 初めまして。東京外国語大学からガーナ大学に留学中の山本貴仁と申します。
昨年8月から1年間在籍しているガーナ大学では社会学を専攻しており、農村部でのフィールドワークも行っています。
 
 今回は首都アクラでガーナの「家族」とともに過ごしたクリスマスと年越しのお話をご紹介します!私はガーナの下町Madinaで偶然出会い、仲良くなった家族のもとに毎週日曜日に遊びに行っています。そして、クリスマスと年越しも共に過ごしました。
 
 ガーナは人口の7割ほどがキリスト教徒で、そのキリスト教徒の祭典であるクリスマスは大変盛り上がります。25日は朝早くから教会に行き、踊って歌って、牧師の話を聞き、祈ります。一部のカトリック教会を除き、ガーナの各教会は、多くの日本の人が持つ教会の荘厳なイメージからはかけ離れ、ドラムやベース演奏付きで盛り上がるフェスのようなものです。会場の熱気を高めることで神に感謝をしているようです。普段時間通りに物事が進むことはほぼないガーナですが、なぜか教会は時間通りに始まって、時間通りに終わります。

写真1 クリスマスの教会

 
教会のミサは12時には終わり、家に戻ってガーナの主食フフを作って食べます。フフとは、キャッサバとプランテンをもとにしたお餅のような食べ物です。ライトスープというトマトベースの辛いチキンスープと一緒にいただきます。フフを食べながら、私のガーナでの「母親」であるママゲティは言いました。「ガーナで長生きするのは簡単ではない。この1年間でもたくさんの知り合いが亡くなった。年の終わりにみんなでフフを食べて、来年のクリスマスも一緒に祝えることを祈る一日なんだよ。」日本の商業化されたクリスマスとは一線を画す、命の重みを感じるクリスマスとなりました。

写真2:フフをいただく

 
年越しもガーナの家族と共に教会に行きました。この日はいつもよりたくさんの人が教会にいました。年越しの礼拝には日曜日の礼拝にはあまり見ない男性も含めて、多くの人が参加します。夜10時ごろから深夜1時ごろまでたくさん歌って踊って祈るイベントです。
 
普段、教会の参加者は圧倒的に女性が多く男性の参加者はまばらです。多くのガーナ人曰く、経済的な困難が大きい女性の方が宗教の力に頼っているからだとか。インフォーマルセクターで働くことが多い女性は収入が不安定で、労働量も多くなります。おしゃれをして教会に行くことを楽しみ、踊りや祈りを通じて日々の苦労を、神を通じて昇華させているように見受けられます。
 

写真3:新年を迎え大盛り上がりの教会

 
年を明けた瞬間に、たくさんの人と新年を祝い合いました。この1年間、どんな苦難も乗り越えられると皆が信じ、握手をします。
 
クリスマスも年越しも共通して言えることは、長生きすることが容易ではないこの国において、「生」の喜びを共に味わい、それぞれのこの一年の努力を労い、そして次の一年への覚悟を決める行事だということでしょう。ガーナの人々の心の内を少し垣間見られた年末になりました。
 
年も明けて教会からガーナの家族の家に帰ってきた瞬間に、殴り合いの兄弟喧嘩が始まったのを見た時には、「教会でいったい何を学んで、祈っていたのかい?」と言いたくなりましたが、心にしまっておきます。
 
隔月でガーナのフィールドワークの様子をお届けいたします。
拙い文章ではありますが、お楽しみいただけますと幸いです!
(つづく)
 
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3. 子連れフィールドワーク
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子連れフィールドワーク@カンボジア (1)2022年 ~ 4年生での渡航
 
    松井生子(文化人類学・東南アジア地域研究/日本女子大学 学術研究員/FENICS正会員)
 
 
私は会社員を経験した後に大学院に入り、現在カンボジアをフィールドとしてベトナム人についての研究をおこなっている。カンボジアでベトナム人は多数派民族のクメール人を脅かす他者として措定され、これまで差別や暴力の対象となってきた。そのような彼らの生活状況、実際の民族間関係について知りたくて、2005年12月から村で調査を始めた。対立や迫害の歴史の傍らで人々が関係を構築し、他者認識を変えていく様相をローカルな現場から捉えることが、現在も関心事であり続けている。
  
子どもが生まれてからは、夫や保育園の協力を得ながら研究活動をおこなってきた。子どもが1歳の途中から小1まで夫が神戸に単身赴任となり、ひとりでやらなければならないことが多かったが、節目節目でさまざまな人に助けられてきた。フィールドワークは夫の夏季休暇中に子どもを託し、年に1度のペースでおこなっていたが、現地にはいつも1週間程度しか滞在できなかった。
  

写真1 日本で飛行機に乗る前。やや緊張気味の面持ち

初めて子連れでカンボジアに行ったのは2022年の夏で、新型コロナウィルスの流行によるカンボジアの入国制限と日本の水際対策が緩和された後だった。感染症流行で渡航できない状態が続いた後、やっと行けることになった2022年は、夫が前年に食道がんの手術を受けて体調が思わしくなく、子どもの世話を頼むことができなかった。それでこの際、子どもと一緒にゆっくり2週間渡航することにした。
  
子どもは当時4年生。タイのバンコクで飛行機を乗り換え、プノンペン行きの飛行機が離陸すると、ぐずぐず泣いていた。びっくりして「どうしたの」と聞いても答えない。その前に「ママはカンボジアに初めて行く時に怖くなかったの」と聞いていたことから察すると、日本を離れ心細くなって泣いたようだ。
  
プノンペンでいつも泊まっていたホテルは感染症流行で観光客が激減し、営業を終了していた。代わりに予約したホテルのロビーにはアンコール遺跡の仏像を模した像がたくさん置かれていて、日本でも仏像を怖がる子どもが嫌がっていた。さらにその夜、ホテルのシャワーのお湯が出ず、到着早々、子どもにとって苦行のような感じになってしまった。
  
プノンペンは古い家が壊され、新しい道路ができ、どんどん変わっているところだった。車が多く、信号が少ないので、大通りを渡りたい時は苦労する。信号があっても無視して平気で突っ込んでくる車がいるので油断できない。街路を歩いていると、停車中のトゥクトゥクにぶつかった乗用車がそのまま走り去る場面を目撃した。子どもは随分と危ないところだと思ったようである。
  

写真2. プノンペンにて、独立記念塔を背景に

私1人なら市街地のどこへでもほとんど歩いて行くが、子どもが歩くのを嫌がるのでトゥクトゥクを利用した。私はスマートフォンを使わないので、配車アプリを利用することがない(スマートフォンに替えるのが面倒だと思っているうちに今に至ってしまったが、スマートフォンではない通常の携帯も日本ではほとんど持ち歩くことがない・・・)。全部料金を交渉して乗る。子どもは高い料金を言ってくるトゥクトゥクと、それに応対する私のことを横でじっと観察していた。小学校に提出した自由研究「カンボジアの発けん」では、こういう文を書いていた。
 
「ぼったくりのトゥクトゥク」(文:金子栞)
「トゥクトゥクとは、乗用車とバイクが合体したような物。それは、目的地に行く時に乗る物です。でも注意しないとぼったくられますよ。すぐ近くなのに600円などと言ってくるので、そういうトゥクトゥクには乗りません。トゥクトゥクの呼び方は「トゥクトゥクおーい」。そうじゃないと止まってくれません。ああ、なんと不便…と思っているみなさん、まぁ、不便ではありますが、トゥクトゥクはぼったくりだけが運転しているわけではありません。「何円で行くの?」など聞いてくれるトゥクトゥクもいます。ぼったくりって、外国人をよく乗せていて、外国人をねらってぼったくります。でも、ふつうの金がくを知っていれば、ぼったくられることはありません。物の金がくを知るって大事ですね」
 
日本を出る前に、「食事は全部現地のものを食べる」と子どもに宣言していたが、いざ行ってみると子どもは食欲がなく現地の料理を食べない。プノンペンではどこで何を食べさせるか毎日考えなければならなかった。子どもはホテルの朝食ビュッフェでパンなどを食べ、昼間は食堂で私が注文した鶏を少量つついたり日本から持ってきたお菓子を食べ、夜は中国系の店で餃子を食べたりした。子どもと一緒だと1人で行動する時よりも制約が多く、その都度考えなければならないことが多かった。
 
プノンペンでは国立文書館に行って文献の複写を依頼し、滞在5日目に調査村へ移動した。調査をおこなっているのはカンボジア南東部、プレイ・ヴェン州のメコン河沿いの村である。ベトナム国境まで20キロ程度の場所にあり、クメール人とベトナム人が共住している。
村に行くには、ベトナムのホーチミン市行きのバスに乗り、交通の要所である市場町ネアク・ルアンで下車してバイクで迎えに来てもらうのが常だったが、感染症流行後、いつも使っていたバスは路線廃止となっていた。ほかのバス会社を回ったが、それらのホーチミン市行きのバスは基本的に途中下車できなかった。仕方なく、調査村とプノンペンをむすぶ乗り合いのマイクロバスを依頼することにした。  

マイクロバスの運転手は以前から馴染みの人物なので安心である。家の近くまで荷物と共に運んでもらえる。子どもは誰でも無料だった。問題は寄り道が多く時間がかかることである。この時は出発から到着まで4時間かかった。私たちをホテルの前で拾った後、マイクロバスはプノンペンの北へと向かい、村から運んだ卵とバナナの房をおろし、代わりにミネラルウォーターを積み込んだ。マイクロバスはこのようにして村の物流の一端を担っている。そこからまた移動して若い男性を2人乗せ、その後、別の場所で工場に働きに行く若い女性をおろした。
私は前夜から喉がムズムズし、マイクロバスが村に着く頃はすっかり具合が悪くなっていた。感染を疑い、「プノンペンのような病院はないけれど、子どもの世話をしてくれる人がいる調査村のほうがいいだろう」などなど、道中、今後のことを考えていた。
(つづく)
 
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4. FENICSイベントリポート
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★イベントレポート(韓智仁)★ FENICS新春・川柳ワークショップ「野に出ると川柳にあうぞ」(2025年1月5日開催)
 
        韓智仁(文化人類学/大阪大学・春風社)
 
年始休みのおしまいの日曜日、東京大田区にある昭和のくらし博物館にて、FENICS主催の新春・川柳ワークショップ「野に出ると川柳にあうぞ」を開催しました。
川柳人の暮田真名さんを講師として、フィールドワーカー・人類学者たちが川柳をいちから学び、博物館の展示や街なかから川柳の素材を探し、川柳をつくって、句会をしてみました。一日をかけて、川柳の世界の深みを体験することになりました。
 
午前中は、暮田さんからの川柳についてのレクチャー。川柳の歴史や、現代川柳の鑑賞方法を解説していただきます。
午後は、川柳につかう語を集めるために、昭和のくらし博物館の展示を見学したり、博物館のある久が原の町中を歩き回ったり。川柳につかえそうな言葉を見つけるために、まわりを見る目がふだんとはちょっと変わります。博物館のパネルの文言も注視しながら、展示物とその言葉にあらたに出会いなおす感覚をめいめいに持つことになりました。
 
その後、川柳を作る時間に。川柳(それも現代川柳!)をつくるのははじめてですが、午前中のレクチャーも思い出しながら、集めてきた言葉を組みあわせながら、575に当てはめたり当てはめなかったり、こんなもんだろうかと各々試行錯誤。
この日の最後には、こうして作った句を発表し評しあう句会をおこないました。川柳をつくるのもはじめてなら、他の人の川柳を批評するのもはじめてでしたが、各々の感想を素直に出しあいます。「この句はこんな印象をもちました」「自分のつくった句は町中のどこどこ看板にあった言葉をつかっていて…」「実はこの句はこういうつもりで作ったんですが」などなど、すっかり夜になっていましたが、大盛りあがりで会は終了しました。
 
今回のワークショップから、フィールドワーカーはどのようなレッスンを得られたでしょうか。
もちろん、で出会った言葉や出来事をもとに川柳をつくる、その作法の最初のステップを学ぶこともできたでしょう。そしてさらに、現代川柳という、なにが書かれているのかちょっとわからないし、作っている本人もそれを知っているわけではない、けれどもそれを丸ごと味わおうとする、そういう活動や作品から、「他の人が言っていることややっていることが理解できないこと」「自分の書いたものにいまいちピンと来てもらえないこと」の、ポジティブな側面を考えるヒントを得たようにも思います。
 
年始も年始から、充実の1日になりました。
 
   参加者の川柳と写真をふくめたリポートはこちらへから! https://fenics.jpn.org/event_repo/kan-2025-1-5/
 
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5. FENICSよりお知らせ
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 FENICS協力イベントを2点、お知らせします。
  
(1)
EC連続上映会24
EC自由研究シリーズVol.9「運ぶ身体」
 
■日 時:2025年2月21日(金)開場18:30 開始19:00
■参加費:1,000円 ワンドリンク付
■予 約:電話:03-3227-1445 Mail:za@pole2.co.jp
■主 催:公益財団法人 下中記念財団
 
▼テーマ「運ぶ身体」
地方の直売所で大きくてゴロンと座りの良い形の冬瓜を見つけました。思わず頭の上に。おお!なんだか妙にしっくり。背筋が伸びて、地面からスックと立った木にでもなった気分。そういえば、ECフィルムには様々な「運ぶ身体」がそこかしこに映っているのが気になっていました。
水やパン、採集した草木や魚貝、重い材木や舟…。ガソリンや電気の動力の力を借りることなく、しなやかに運ぶ身のこなしには思わず目を奪われます。すっかり鈍ってしまった私たちの「身体」。その理にかなった動きから学ぶことも多そう。(頭上運搬ができるようになりたい!)今回の上映会では、さまざまな「運ぶ身体」に注目して、皆さんと一緒に観てみましょう。
*会場では、実際に頭上運搬のための道具などを使って「やってみる」時間も!
◉研究呼びかけ人 下中菜穂、中植きさら/EC活用プロジェクト
 
▼必ず上映するタイトル
水汲み(スーダン/コルドファン/マサキン族)E0697/1962/4:00/カラー
キビの収穫(スーダン/コルドファン/マサキン族)E0703/1963/10:00/カラー
小魚と貝の採集 (シェラ・レオーネ/メンデ族)E0231/1953-55/5:00/モノクロ
小屋づくり(南アフリカ/カラハリ砂漠/コ・ブッシュマン)E1850/1970/5:30/カラー
丸木舟の建造と操縦(シェラ・レオーネ/メンデ族)E0229/1953-55/16:00/モノクロ
投網での海上漁撈と漁獲物の乾燥(ギニア海岸/セネガル人)E0200/1958/12:30/モノクロ
籠編み(アフガニスタン/バダクシャン/タジク族)E0746/1963/16:00/モノクロ
 
▼その他の(上映するかもしれない)タイトル
ゾーリンゲンの水車での刃物研ぎ(中央ヨーロッパ)E0427/1961/20:00/モノクロ
水汲み(ブラジル/シング川上流域/ワウラ族)E0989/1964/3:30/カラー
丸太を持っての儀礼的駅伝競争(ブラジル/トカンティンス地方/クラホ族)E0116/1949/1:30/カラー
半年分のパン”フラットブロート”焼き(中央ノルウェー)E1480/1964/9:30/モノクロ
 
▼ EC自由研究とは…「観る、やってみる、問いつづける」
ECフィルムをテーマに開催した「映像のフィールドワーク展」(2019年@生活工房)での「観る、やってみる、問いつづける」の精神を引き継いだ連続上映シリーズです。ECの映像からもたらされる暮らしの技や豊かな生の集積。参加者ひとりひとりが研究する人になって映像をみて、ときには語り合います。
 
■企画:EC活用委員会 / 下中菜穂(エクスプランテ)、丹羽朋子(FENICS)、ポレポレ東中野
■協力:川瀬慈(国立民族学博物館)、岡田一男(東京シネマ新社)、NPO法人FENICS
 
公益財団法人下中記念財団事務局
 
(2) 展示「レジリエント・ライフ:強制撤去からの帰還と再建」
 
展示期間:2025/3/2(日)- 3/23(日)  12:00〜18:00 休廊:月曜日
入場料:無料
展示会場:東京工芸大学中野キャンパス6号館地下1階ギャラリー6B01
 
本展示は、ケニアの首都ナイロビにあるムクル・クワ・ンジェンガを舞台に、行政により家を強制撤去された住民が元の土地に戻り住居を再建する姿を記録するプロジェクトである。展示は、Materiality of LivesとRebuilding Home and Dignityの2つのプロジェクトで構成されており、住民のレジリエンスやクリエイティブ・リユースの精神を提示しつつ、土地利用、貧困、行政上の問題といった課題にも目を向けている。
この展示は、アート、人類学、建築学、政治学など多分野の専門家が協働して成立している。
 
プロジェクト1
Materiality of Lives-86 materials, 27 elements and 4 lives
強制撤去後に自力再建された家屋を構成していた材料や部位を抽出し再構築することで、厳しい条件の中で発揮される住民のクリエイティビティや彼らのここに住まうことの誇りを表現する。材料、部位といったモノと対峙することを通して、強制撤去後の暮らしについて読み解いていく。
 
プロジェクト2
Rebuilding Home and Dignity
本プロジェクトでは、ムクル・クワ・ンジェンガで強制撤去を受けた住民が元の土地に戻り、住居を再建し日常生活をとり戻すまでの過程を追う。
住民へのビデオインタビューでは、強制撤去の話を中心に伺いながら、彼ら/彼女らの人生を時系列的に追いかける。人々はどこからやってきてどこへ行くのか(もしくはムクルに居続けるのか)など。さらに、360度パノラマ写真で住居の内部および外部空間を撮影し、バーチャルツアーのシステムを作り、この中に住民のインタビュー映像を挿入しており、鑑賞者は住居の内外を探索しながら、居住者の語りに耳を傾けることになる。
 
<プロジェクト・チーム>
野口 靖(アーティスト・プログラマー /FENICS正会員)
椎野 若菜(社会-文化人類学者、東アフリカ民族誌/FENICS理事)
井本 佐保里(建築計画・研究者/FENICS協力者)
キティンジ・キニュア(政治学専門)
 
トークイベント1(事前予約なし/入場無料)
2025/3/8(土)15:00~17:00
「人と住まい:強制撤去からの再建」
 
ゲスト: 村津 蘭(文化人類学/映像人類学)
ゲスト: 西尾 美也(アーティスト)
 
トークイベント2(事前予約なし/入場無料)
2025/3/22(土)15:00~17:00
住まいと都市政策:インフォーマル居住区が映し出す社会課題
 
ゲスト: 小野悠(都市工学)
ゲスト: 溝口大助(文化人類学)
 
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6. FENICS会員の活躍
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FENICSの理事、丹羽朋子さんよりお知らせです。FENICSに関わられてきた方がたの企画です。
 
展示・ワークショップ
「PART OF THE ANIMAL 動物と人間のあいだ」
 
会期:2025年01月21日(火)~2025年04月20日(日)
時間:9:00~21:00 月曜休み(休日は除く) /入場無料
会場:生活工房ギャラリー(3F)
 
太古の昔から人間は、動物をえがく/動物とえがく/動物でえがく、といった表現を続けてきました。本企画は、絵に描くだけはでない、詩や音楽や、演劇、踊りをも包括した〈動物をえがく〉ことについて、人類学・芸術学・生物学・比較文学の研究者たちが世界をフィールドにおこなった調査や、アーティストたちの思索をたどりながら「動物と人とのあいだ」の回路をひらく展覧会です。 
 
展示のほか、ワークショップが開催されます。ふるってお申込みください。(定員になったものは、掲載しておりません。)

◆02 ワークショップ ジェンダーとは?からだを動かして、楽しく学ぼう
近年特に注目されている「ジェンダー」とは一体何でしょうか?からだを動かして、“動物”や“スーパーヒーロー”になりきることで、ジェンダーについて考えます。身体を使った遊びを通じて、ジェンダー差別に気づいたり、自身をとりまくジェンダーの問題を探ってみましょう。
 
日時:2月8日(土)13:30~16:00
会場:セミナールームAB
講師:ケイトリン・コーカー(ダンサー、人類学者)
参加費:1,000円(保護者は無料)
定員:20名(申込先着 小学3年生以下は保護者同伴)
申込方法:下の申込フォームからお申し込みください
 
◆04 対談イベント 動物をめぐる対話1―動物を狩ること、えがくこと
4万年以上前、洞窟になぜ動物がえがかれたのでしょう?狩る・狩られるという交わりの中で、絵画や音楽、踊りなどの表現が生まれたこと、そして「動物になる」、「動物と会話をする」ことの意味について語り合います。
 
日時:3月8日(土)13:30~16:00
会場:セミナールームAB
講師:齋藤亜⽮(認知科学者)、竹川大介(人類学者、漫画家)、山口未花子(人類学者)
参加費:1,000円
定員:50名(申込先着)
申込方法:下の申込フォームからお申し込みください
 
◆05 対談イベント 動物をめぐる対話2―それぞれの環世界、共に動物である私たち
人間中心ではなく、「人間以上のもの」を尊重するマルチスピーシーズの思想や、そこから動物と人間の関係性を再構築し、作品を創作する実践などについてお話しします。
 
日時:3月9日(日)13:30~16:00
会場:セミナールームAB
講師:石倉敏明(人類学者)、管啓次郎(詩人)、長坂有希(アーティスト)
参加費:1,000円
定員:50名(申込先着)
申込方法:下の申込フォームからお申し込みください
 
◆06 ワークショップ 動物とふれる、つくる、えがく【二日間通し参加】
人間中心ではなく、「人間以上のもの」を尊重するマルチスピーシーズの思想や、そこから動物と人間の関係性を再構築し、作品を創作する実践などについてお話しします。
 
日時:4月12日(土)13:30~16:00頃、4月13日(日)10:00~15:30頃
会場:ワークショップルームAB
講師:石倉敏明(人類学者)、永沢碧衣(アーティスト)、西澤真樹子(なにわホネホネ団 団長)、長谷川朋広(ゲームクリエイター)、盛口満(作家)、山口未花子(人類学者)
参加費:3,000円
定員:20名(申込抽選 小学3年生以下は保護者同伴)
申込方法:下の申込フォームからお申し込みください
申込締切:3月31日(月)
 
◆06 ワークショップ 動物とふれる、つくる、えがく【4月12日のみ参加】
日時:4月12日(土)13:30~17:00頃
会場:ワークショップルームAB
参加費:1,000円(保護者は無料)
定員:20名(申込抽選 小学3年生以下は保護者同伴)
申込方法:下の申込フォームからお申し込みください
申込締切:3月31日(月)
 
詳しくは、こちらでどうぞ。
https://www.setagaya-ldc.net/program/602/?fbclid=IwY2xjawICYbZleHRuA2FlbQIxMAABHaO1Eh8b5q-ZXKwiU7Z0oi33-6nfBoDhlD2yorSC97L-E_ESS0d7Bbyjbg_aem_w-dxpzgJNAJ7gEAwj6_vbw
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以上です。お楽しみいただけましたか?
みなさまからの情報、企画、お待ちしています。
 
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メルマガ担当 椎野(編集長)・澤柿
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