現地事情に詳しく、当事者に寄り添った研究者たちは、問題解決のために何を提言するのか?進路選択や研究テーマ選択のきっかけとして、社会問題へ関心を抱く高校生や大学生は数多い。自分の問題意識を、大学での学びや研究にどう発展させていけばよいのか。フィールドで社会問題に取り組む著者たちの体験談が役立つ。社会科地歴科の教材やアクティブ・ラーニングの題材におすすめ。
イントロダクション(白石壮一郎・椎野若菜)
PART 1 調査から立ち上がる疑問
1 アフリカの動物保護をカッコいい言葉で描けるか?―現場で気づく理想と現実(目黒紀夫)
2 アフリカの難民問題を再検討する―難民が故地での生活をはじめれば問題はなくなるのか?(村尾るみこ)
3 アフリカの「ストリート・チルドレン」問題を複眼的に見る―支援者と調査者の交差するまなざし(清水貴夫)
PART 2 調査する者からのリアクション
4 「政治的な正しさ」の背後にかくれたローカルな論理によりそう―商業的国際結婚と家族(横田祥子)
5 ケニアにおける「妻相続」慣習の言説とフィールドで見る現実のはざまで(椎野若菜)
6 島根の山村で「ナラ枯れ」にむきあう―仲間と行う山仕事から見えたこと(福島万紀)
PART 3 ものごとの捉え方を再設定する
7 アメリカのファット・アクセプタンス運動から「肥満問題」を見る(碇 陽子)
8「南アフリカの先住民」が現れるまで―ポスト・アパルトヘイト時代のサンの挑戦(丸山淳子)
PART 4 人生に接する、社会・歴史に接する
9 あいりん地域における「支援」のフィールドワーク―単身高齢男性の生きづらさに向き合って(白波瀬達也)
10 在日コリアンとの「再会」―ジモトのフィールドワークから見えてきたもの(川端浩平)
11〈無念〉に触れる―フィールドで問い返される研究の公共性(安岡健一)
補章 社会問題との出会い方―アクティブ・ラーニングへの本書の利用(白石壮一郎)
編集後記(白石壮一郎)