FENICS メルマガ Vol.72 2020/7/25 
 
 
1.今月のFENICS
  
 大雨で湿度の高い日々が続きます。さらに政府の明確な政策も見られないまま、感染者がうなぎ上り、不安がつのります。まさにwithコロナ時代に突入しました。オンライン続きで精神的にも疲れてきましたが、FENICSもZoomにて総会を開かせていただきました。
 
 先週は正会員のみなさま、Zoom総会にご参加をありがとうございました。例年、総会は東京で開催してきましたが、今回はZOOM開催になったことで東京だけでなく埼玉、青森、愛知、広島からもご参加いただき、拝顔できてよかったです。
Zoomによる会議や研究会は、子どもがいても参加できるので孤立度が軽減された、というご意見もありました。新しい会費納入システムを導入したので、これを機に、どうか正会員もしくは賛助会員になっていただければ幸いです。
目的を共有しともに活動し、あたらしいムーブメントをつくっていければと思っております。正会員であることは、社会貢献でもあります。
NPO法人むけの助成などにも、応募することができます。
委任状をくださったみなさま、新しい家族がふえた、コロナ禍の過ごし方など、近況をありがとうございました。お返事ができておらず失礼しております。おっていたしたいと思って居ります。
 
それでは本号の目次です。
 
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1 今月のFENICS
2 フィールドワーカーのおすすめ 連載(小森真樹)
3 子連れフィールドワーク 留守宅編 連載2(椎野和枝)
4 FENICSからのお知らせ 
5 会員の活躍     
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2.私のフィールドワーク
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コロナ禍のフィールドワーク(連載4)
 
ハッシュタグをハックする:K-POPファンのブラック・ライブズ・マター運動
 
小森真樹(武蔵大学 アメリカ研究、ミュージアム研究 FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ『フィールドノート古今東西』執筆者)
 
本連載では、コロナ禍のフィールドワークとしてデモについて紹介してきた。前回は、代々木で行われたブラック・ライブズ・マター(以下、BLM)運動デモに参加した際のエスノグラフィーを報告した(1)。そこでは、Instagramなどのツールを使うことで現場とウェブ上をつなぎ、いわば「フィールド」を軽やかに拡大していく社会運動の形があったと指摘した。本号でも引き続き、オンラインのBLM運動の展開について報告したい。  

5月25日のジョージ・フロイド氏が殺された事件のあとで、ブラック・ライブズ・マター運動は拡大を続けている。デモへの参加者数は2600万人超とも試算され、アメリカ史上でも最大級の運動となったと言われる(2)。興味深いことに、この一端を担ったのは韓国発のアイドル、いわゆるK-POPのポップスターとそのファンたちである。ある一件の面白い顛末を紹介したい。
  
フロイド事件以後のハッシュタグ運動
フロイド氏の事件以後のBLM運動では、SNSのハッシュタグを使って人々の声をつなげる運動が目立っている。#MeTooや#TIMESUP運動なども記憶に新しい、「ハッシュタグ運動(hashtag activism)」である。事件の直後から、#BlackLivesMatter(黒人の命は大切だ)のハッシュタグがSNS上を飛び交い、5月28日ツイッターでは世界8800万という記録的なつぶやきが投稿された(3)。翌週6月2日、#BlackoutTuesdayというタグと共に黒く塗りつぶされた画像を投稿することで、その日はイベントや仕事など様々な活動を休止してBLM運動に注力しようというメッセージを示す運動も話題になった(4)。
  
ハッシュタグをハックする:K-POPスターとファンの抗議法  
ところが、直ちにBLMに対抗する運動が起こる。#WhiteLivesMatter(白人の命も大切だ)や#BlueLivesMatter(青=警官の命も大切だ)というタグや、また、#WhiteoutWednesdayとして白い画像を投稿して BLMのデモを嘲笑するような投稿がなされたのである。 

#WhiteLivesMatterのタグで検索した結果。(2020/7/24時点)アイドル画像に加えて、保守派・ヘイトを諫める箴言も混じっていた。

しかし、これらのバックラッシュ的な差別的言動に対して、興味深い反応が起こった。K-POPのファンたちが、差別主義者たちが用いる「#WhiteLivesMatter」のタグで、各自お気に入りのスターの写真や動画を投稿したのである。こうしたタグの「ハッキング」によって、目を覆いたくなるようなヘイトスピーチの投稿は夥しい数の美男美女画像に埋もれることになった。試しにInstagramでこれらのタグを検索してみてほしい。現在でも、トップミュージシャンのBTSをはじめとした多くのK-POPスターの画像が投稿を埋め尽くしている。(写真1) 
先に「興味深いことに」と書いたが、K-POPに馴染みがあるファンたちにとっては、何も驚くべきことではないのかもしれない。K-POPのポップスターは世論への影響力が知られ、社会問題や政治への積極的な発言も期待される状況にあるのは、長らくのことである。2010年頃からは学術的な考察もなされ始めているようだ(5)。これを思えば、今回コロナ禍やBLMへの基金に、多くのK-POPスターたちが寄付や基金という形で尽力したのはむしろ自然なことにも思える。  
一方、日本でも5月9日から、ツイッター上で「#検察庁法改正に抗議します」と人々が声を上げるハッシュタグ運動が起こり、「ツイッターデモ」の名で知られるようになった。このとき多くの歌手や俳優たちが声を上げて情報を拡散したことが、驚きをもって迎えられた(6)。すなわち、著名人が政権や政策について批判の声を公にするのは、「当たり前」のことではなかったからである。著名人のSNSでの影響力は甚大である。ハッシュタグ運動のゆくえは、社会が著名人に期待する役割によっても変わってくるだろう。  
 
(1)「東京・代々木「ブラック・ライブズ・マター・トーキョー」デモのエスノグラフィー――ネットで軽やかにフィールドをつなぐこと、「見えない」ものに目を凝らすこと」FENICS(2020/6/26) https://fenics.jpn.org/mailmaga-app/20200626_sp 
(2)6月中旬の統計。Larry Buchanan, ”Black Lives Matter May Be the Largest Movement in U.S. History“ New York Times (2020 July 3) https://nyti.ms/2WOiDen 
(3)Monica Anderson et al, ”#BlackLivesMatter surges on Twitter after George Floyd’s death,” Factank, (2020 June 10) https://www.pewresearch.org/fact-tank/2020/06/10/blacklivesmatter-surges-on-twitter-after-george-floyds-death/
(4)黒い画像投稿の運動が、かえってウェブ上の適切な情報を埋もれされるということになるという指摘がなされている。玉石混交で大量のツイートは、人々が「動いた」ことは示すが、その効果や内実は単純ではない。AJ Willingham “Why posting a black image with the ‘Black Lives Matter’ hashtag could be doing more harm than good,” CNN (2020 June 2) https://edition.cnn.com/2020/06/02/us/blackout-tuesday-black-lives-matter-instagram-trnd/index.html
(5)以下の論文では、ネット上の運動とポップスターの関係を、ファンドレイジングなどのポジティヴな側面と、個人情報の「晒し」や愛国主義への傾倒などネガティヴな側面の双方を指摘している。Jung, Sun. 2012. “Fan Activism, Cybervigilantism, and Othering Mechanisms in K-pop Fandom.” In “Transformative Works and Fan Activism,” edited by Henry Jenkins and Sangita Shresthova, special issue, Transformative Works and Cultures, no. 10. https://doi.org/10.3983/twc.2012.0300.
(6)「ツイッターデモの拡散力 人が集まれない時代の市民運動」朝日新聞(2020/5/17);法改正に関する意見を述べた歌手のきゃりーぱみゅぱみゅに対して、政治評論家加藤清隆が「歌手やってて、知らないかも知れないけど(…)デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい」と貶めたが、この発言にも、社会や政治に関する意見表明を「歌手」から切り離そうとする意識が見てとれる。
 
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3.子連れフィールドワーク 留守宅編(連載)
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二児を抱える俄かシングルマザーとともに  ―年寄りのつぶやき②ー
                           椎野和枝(FENICS正会員)
     
6年前、娘の介護を要する難病ギランバレー症候群を病んだ。今も足にしびれは残すがそれなりに復帰して、危ういが多少の役割を務められる健康を取り戻した。コロナウイルス襲来の世の中まで生きるとは思いもしなかった。  

孫のJの小学校が閉じられ、幼児Lも最寄りの保育園への登園は控えることにした。終日子どもとたちとのくらしが始まった。3月半ばコロナウイルスの感染状況を報道する最初の内容は80歳代の女性の死亡したことを繰り返していた。時間とともに死亡が高齢者に限らないことも判明はしていったが、高齢者や疾患を持つ弱者の死亡数値は高いと知らされる。娘、若菜の立場からは子どもたちも、4月に86歳になった親もコロナから守らねばという思いを強く持っている。最初は娘の自宅の府中と私の住む川崎の家とを交互に移動して過ごすこととした。移動は娘の運転による自動車でする。スーパーの買い物も彼女が済ませるのを待つ。山のようにある洗濯、幼児との生活は朝夕に掃除機をかける。空腹を訴える学童の胃袋に応える食事準備。つきない家事。年寄りの眼からは娘の負担の多さが疲れを増すので怖かった。イアンが日本に戻れない現実は誰もが感染を避け、力を合わさなければたちゆかない。
世界のニュースを聞く大人の中で、帰れない父を理解しようとする小学生の心理状態を察すると何より安定が必要だった。神奈川の私の家の方で移動をせずに過ごすことにする。
そこで今年の春休みの桜は私の住む団地の桜探検をして楽しんだ。枯れ木の散らばっているのを見つけて自由に遊ぶ。草花を摘み虫と出会った。別の日は同じ団地内の釣りもしているむじなが池に行く。傍のゆるい階段は林のように木が茂っている、かって娘が小学生の頃家族で遊んだ場所、小鳥がさえずり鶯のひながケキョケキョと練習するのを孫と真似た。遠出をしないことで、かろうじて自然を残している自分の住まいを感じるのだった。
コロナ禍によって孫たちと一緒にくらすことになってその成長の凄まじさに驚いた。2歳をまぢかにするLの運動神経は毎日できることか発展する速さである、言語はまだ多くは発音できないが、殆どこちらが伝えていることは理解していて行動する。7歳のJも単語をかなり取得していて理屈も云う。この時期の人間の素晴らしさ、愛らしさ、人への親しみ、欲望、巧妙な知恵、闘争心、嫉妬心,ずるさなど自らの子育ての時には見過ごした事の詳細が感じられて毎日の思いは深い。どんな書物にも匹敵すると感じる。老いたる私は思う。私はどのように全面発達してきたのか、一面のみだったか。長い経過の後わかってくることがある。孫とのくらしは、彼らはどのような社会で生き、越えて行くのか先が見えない世の中を思う。同時に自分のここまでの戦後社会と生涯を想い起こされることでもあった。

4月8日、Jの二年生生活がパソコンのZOOMの朝礼で始まった。Jの通う学園はプロテスタントの理念による教育、朝の礼拝とともに開校された。先ず青木洋介校長先生が選んだ聖句が読まれそれについてわかりやすいお話がつづく、説教というより聖句は人みな心得ておくべき心のありよう、教養として身につけておきたい態度を淡々と述べられる風であった。日々のニュースも話され1年生から6年生、その保護者にとっても新鮮な時間を一日のはじめに浴びたのだった。宗教論はともかく、私には京都の学び舎で耳にした言葉の群れで懐かしい。続いてラジオ体操を室内でとび跳ねた。決まった曜日にはJのホームルームの時間が始まり映像の中に現われた先生や友達と久しぶりに会えた。みんな嬉しそう。先生も生徒も初めての経験ばかりだ。
緊急事態宣言が4月7日に出され人の生活の仕方が急に変ってきた。5月25日全面解除され日を追うごとに経済の復帰、交通の便も復旧している。しかし、再流行に備えたくらし方は買い物、食事方法など注意は緩めない方がよさそうであり、このウイルスの怖さから解放されるのは時間が必要なのだ。私らの日常はこのただ中にいる。
 
(つづく)
 
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4.FENICSからのお知らせ
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 7月19日(日)、10時よりNPO法人総会を開催しました。委任状をお送りくださった正会員のみなさま、まことにありがとうございました。
総会でもご報告した2019年度活動報告と会計報告をWebに掲載しました。
そこでも問題となりましたが、会費納入率がよくありません。FENICSは賛同者から少額の会費が少しずつ集まったら、さらなる活動にも挑戦したいと思っております。
これまで使っていたクレジットカードを使用した納入方法ができなくなっておりましたが、またできるようになりましたので、よろしくお願いいたします。
 
【正会員と賛助会員】
NPO法人になってから、途中で制度が変わっております。またおって、以前にご入会の場合はおたずねいたしますが、いま現在、3種類あります。
正会員(年会費1000円、総会の議決権があり、FENICSの活動に意見、企画でき、積極的にかかわる)、賛助会員(年会費1000円(1口)から。FENICSの活動に賛同し、応援する)、そしてメルマガ会員(会費なし、メルマガ受信のみ)がございます。
どうか積極的にかかわり、ともに社会にむけ新しいムーブメントをつくりませんか。
 
【新たな会費納入の仕方について】
7月より、Syncableという、多くのNPO法人に活用されている寄付納入システムを導入することになりました。
同システムのFENIC会費・寄付金サイトは以下になります。
 
*同サイトのFENIC会費納入ページ
 
こちらから「入会プラン」(正会員または賛助会員)を選択して、支払い方法や連絡先等を入力いただくと、本年度の会費(1000円)が納入されます。
また、来年以降は毎年5月1日に当該年度の会費が自動引き落とし設定になります。
 
なお、来週以降に、会員の方には順次、会費のお支払い状況について確認のご連絡とともに、上記の納入システムについて個別メールで連絡差し上げる予定です。
 
FENICSイベントも企画しております。詳細が決まりましたら、すぐにお知らせします。企画したい方、ご連絡お待ちしております。
 
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5.FENICS会員の活躍
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柴田英知さん(FENICS正会員/国際共創コンサルタント。国際協力人材の育成に力をいれています。)
月末に二つのイベントでご登壇あります。
 
①ともに学ぶ★共創ワークショップ★あるく×みる・きく・よむ
#2「宮本常一と歩く学問」
https://ksws20200730.peatix.com/
 
日時:2020年7月30日(木) 19:00-20:30
場所:全世界からオンライン(Zoom)参加
参加費:1,000円
定員:15名まで
申込締切: 2020年7月28日(火)午後8時まで
 
 
②【愛知用水と愛知海道にみる「地域開発の縦糸と横糸」~中島
みゆきの「糸」に寄せて~】
 
岐阜の仲間が20年にわたって続けている勉強会(地域主体の国際協
力・岐阜DDC(=Decentralized Development Cooperation)-GIFU)の
7月定例会に登壇させていただきます。
 
 
 
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以上です。お楽しみいただけましたか?
アーティストの方々からの、コラボ企画もちこみ、大歓迎です。
みなさまからの情報、お待ちしています。
 
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メルマガ担当 椎野(編集長)・澤柿
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