FENICS メルマガ Vol.39 2017/10/25

1.今月のFENICS

台風で雨も事故も多い日が続きました。
政治の嵐もなかなかのものでした。
みなさま、さまざまな思いを抱えた10月末となったのではないでしょうか。
いずれにしても、世代をこえてあらゆる知の共有、伝達、考えを発する・受け取るライブの場が必要であることは確かです。
FENICSは、そうした「ライブの場」の創出に、あらゆる面で努力したいと思います。

明日10月26日には北大で12巻『女も男もフィールドへ』にかかわるイベントが開かれます。
そして、12月は初めからFENICSイベントだらけです。この際、東京にお出かけになってかためてFENICSワールドをお楽しみください!!

それでは本号の目次です。

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1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(福井幸太郎)
3.フィールドワーカーのおすすめ(野口靖)
4.今後のFENICSイベント
(1)10.26@北大
(2)12.2~8 @ ポレポレ東中野 EC上映×フィールドワーカーイベント
(3)12.9 @ポレポレ東中野 FENICS EVENT 「フィールドで/教室で出会う社会問題」

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2.私のフィールドワーク
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「伝説」を目にする.立山カルデラの新湯

福井幸太郎(6巻『マスメディアとフィールドワーカー』編者・富山県立山カルデラ砂防博物館)

2011年3月11日の東日本大震災では,富山県も北東方向に20 cmほど移動したようです.この影響受け活火山である立山火山(気象庁名:弥陀ヶ原)の地獄谷では,噴気や熱水の噴出が活発化し,地獄谷の脇を通っていた登山道が2012年のシーズンから通行止めになるなど大きな影響が出ています.
富山県立山カルデラ砂防博物館では,立山に隣接する東西6.5 km,南北4.5 km,深さ1000 mの巨大なくぼ地,立山カルデラ内の温泉の変化を研究しています.震災の直後,カルデラ内の温泉には大きな変化が見られませんでした.
ところが震災から3年後の2014年6月上旬,立山カルデラ内を流れる湯川最上流部にある新湯(しんゆ)という直径30 m,水深5 mのお湯の池が突然枯れました.その後,新湯は間欠泉に変化してしまいました.この新湯,湖底からは沸点に達するお湯が湧き出し常に満水で,池の切れ口からは富山県内でおそらく唯一の「お湯」の滝が流れ落ちていました.2013年には国の天然記念物にも指定されています.
研究者の間では,人知れずお湯が枯れるという「新湯伝説」がありましたが,誰も目にしたものはいませんでした.私もまさか枯れるとは思っていなかったので,完全に干上がった湖底を発見したときは衝撃を受けました.現在,間欠泉になった理由について,震災の影響も含めて富山地方気象台とともに調査にあたっています.
フィールドワークをしていると「伝説」になっていることを偶然目の当たりにする経験をお持ちの方も多いと思います.これもフィールドワークの醍醐味かも知れません.

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3.フィールドワーカーからのおすすめ
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ケニアの国民食・ウガリとスクマウィキ
野口靖(6巻『マスメディアとフィールドワーカー』執筆者・東京工芸大学)

 昨年からケニアの首都ナイロビのスラムで、住民の方が普段食べているものを料理してもらい、その風景をビデオ撮影してから食べさせてもらうという活動を始めた。そのため、いろいろな家庭でいろいろな食事をご馳走になった。ピラフの祖先である炒めご飯のピラウや、ヌビアの伝統料理を食べさせてくれるところもあり、どれもおいしかった。
しかし、なんといってもウガリとスクマ(ウィキ)をいただく機会が多く、この2つはケニアの国民食と言っていいだろう。ウガリは白トウモロコシの粉を練ったもの。スクマはケールのことで、細く切って炒める。これを食べないとケニアに来た気がしないのだが、今まではあまり料理しているところをつぶさに観察することはなかったので、今回初めて撮影させていただいた。

スクマウィキ

先にスクマを細く切っておく。次に鍋で玉ねぎを茶色になるまで炒めたら、スクマをどさっと投入。しんなりするまで炒めてからトマトを一緒に炒める。基本的な味付けは塩のみ。
ウガリの作り方はシンプル。沸かしたお湯にウガリの粉を入れてかき混ぜるだけ。いい固さになるまでひたすら捏ねる。
どちらも作り方はシンプルだが、手でスクマとウガリを絡ませながら食べると素材の味だけで十分おいしい。

炒める

食べる

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4.今後のFENICSイベント
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明日に開催のものをふくめ、たくさんのFENICSのイベントが12月に開催されます。詳細が決まりました!!!

(1)明日!10月26日 北海道大学低温研「子育て、ライフイベントとフィールドワーク」
(2)12月2日~EC連夜上映
(3)12月9日 FENICS大イベント「フィールドで/教室で出会う社会問題」

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(1)「子育て、ライフイベントとフィールドワーク」

子持ちになったフィールドワーカーは、どうやってその「職業」をつづけられるだろうか?男親、女親であることで何がちがうだろう。
実際にフィールドという現場に連れて行こうとする人もふえてきたなか、子どもの年齢によってどんな対処が必要だろうか?
フィールドワーカーと家族との関係は?親の介護、職場での立場との関係は。
フィールドワーカーにまつわるライフイベントとジェンダー、保育園問題など参加者とともに考えるイベントにしたいです。
ご興味のある方、ご参加下さい。

https://freshu.ist.hokudai.ac.jp/archives/6233/
https://www.facebook.com/events/337324020063305/?ti=icl

​​日時:2017年10月26日(木) 13:00〜16:30

場所:北海道大学低温科学研究所 講堂(札幌市北区北19条西8丁目)
札幌市営地下鉄南北線北18条から徒歩10分
http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/access.html

対象:フィールドワーカー、フィールドワークに興味がある学生、研究とライフイベントとの 両立について知りたい研究者・学生。他大学から、どなたでも参加ください。​​

プログラム

​13:00〜 開場​
13:30~

久世濃子(国立科学博物館/日本学術振興会特別研究員(RPD)
「海外での子連れフィールドワーク」

椎野若菜(東京外大アジアアフリカ言語文化研)
「子連れフィールドワークの調査スタイル:現地の幼稚園にいれてみる」

長堀紀子(北海道大学人材育成本部女性研究者支援室)
「研究者を研究する?女性研究者支援の立場から」

蔦谷匠(京都大大学院理学研究科/日本学術振興会特別研究員PD)
「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」

的場澄人(北海道大学低温科学研究所)
「オジサン世代のライフイベントとフィールドワーク」

フロアディスカッション
・学振特別研究員の「保活」について
​・科研で子連れ調査する場合​
・その他、話し合いたいこと募集中

(2)20世紀の映像百科事典「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」連続上映 at ポレポレ東中野Vol.2

FENICSが企画協力して、多彩なフィールドワーカーたちが7つのテーマで世界各地の貴重な記録映像を見ながら語り合う連続上映会が開催されます。お誘い合わせの上、ぜひお越しください!

▼日時:2016年12月2日(土)~8日(金)連日19:00~
▼チケット:特別鑑賞券2,000円(当日2,200円均一) 3回券 5,400円

*詳細はECフィルムのサイトをご覧ください。 http://ecfilm.net/show/pole2-2

【プログラム】
▼12月2日(土)ノーバナナ、ノーライフ!〈食べる・飲む・効く、バナナの世界〉
佐藤靖明(民族植物学)/ 小谷真吾(生態人類学)/ 小松かおり(生態人類学)/ 北西功一(生態人類学)/ 四方篝(熱帯農学)

▼12月3日(日)サルをみる、ヒトをみる〈ヒトとサル、親と子、そしてベッド〉
座馬耕一郎(霊長類学)/椎野若菜(社会人類学)

▼12月4日(月)ヌバ 変わる生活、変わらない魂〈映像の里帰り。スーダンへ〉
村橋勲(文化人類学)/エルヌール・クワ・マッキ(日本在住のヌバ人)

▼12月5日(火)100年後の糸と布〈衣をめぐる人の営みから〉
分藤大翼(映像人類学)/田中景子(ミナ ペルホネン テキスタイルデザイナー)

▼12月6日(水)語りと歌の境界〈音楽行為と身体〉
川瀬慈(映像人類学)/環ROY (ラッパー)

▼12月7日(木)異界との通路をひらく〈音・舞踊・超越性〉
春日聡(映像・音響作家/映像人類学)/久保田麻琴(音楽家/プロデューサー)

▼12月8日(金)踊るチベット〈チベット仏教の贈与儀礼と芸能〉
佐藤剛裕(チベット研究)

*お問い合わせ先
ECフィルムについて: http://ecfilm.net/contact
上映会について: fenicsevent@gmail.com

(3)FENICS EVENT ■■フィールドで/教室で社会問題と出会う■■


20171209Fenics_event_blue3のサムネイル
12月09日(土)14:00~17:00
於 カフェ・スペース ポレポレ坐
http://za.polepoletimes.jp/news/

charge: 1500 yen(予約・FENICS正会員)/ 1800 yen (当日)
申し込み:fenicsevent@gmail.com / 電話:090-9395-7755

13:30 開場
14:00

[第1部] フィールドで社会問題と出会う

(1)椎野若菜 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
女性の人生選択の現実に直面する:東アフリカ・ケニア村落にて
(2)横田祥子 (滋賀県立大学)
国際結婚の花嫁は「買ってきた嫁」?:台湾台中の地方都市にて

[第2部] 教室で社会問題と出会う(トークセッション)
(1)五十嵐和也(高校教員)
(2)椎野若菜
(3)横田祥子
(4)白石壮一郎(弘前大学)

フロアからの声、ディスカッション

FENICS Websiteからポスターがみられます、ダウンロードできます!

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以上です。お知らせ、いつでもご連絡ください。発信、掲載いたします。
FENICSと共催・協力イベントをご企画いただける場合、いつでもご連絡ください。


寄稿者紹介

自然地理学 at 富山県立山カルデラ砂防博物館 |

東京工芸大学

社会人類学 at 東京外国語大学 |

FENICS代表