FENICS メルマガ Vol.104 2023/3/25 

 
 
1.今月のFENICS
 
春になりました。
編集人は、3月の初旬から日本よりケニアへでており、3週間ほどして帰国、東京に戻ると、桜の満開はすぎチューリップも咲き出していました。春の訪れを感じる過程をスキップし、春を迎えました。
FENICSの副代表で、越冬隊長をつとめた澤柿教伸さんも、南極から無事に帰還しました。昨年は桐朋女子高等学校でむさしの学園と合同で南極教室も開催し、より南極を、研究者を近しく感じてくださった読者もいらっしゃるでしょうか。
 
新学期からの予定、みなさまそれぞれに、どのようなご予定でしょうか。
FENICSもあらたな企画とともに、ひさしぶりにみなさんとお会いする機会も設けていく予定です。
みなさまのほうで、新年度にFENICSと行いたい企画をお持ちでしたら、ぜひお持ちこみください!計画にいれたく存じます。fenicsevent[at]gmail.com
  
*今号は大幅に発行が遅れ、失礼いたしました。

さて、本号の目次です。
 
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1 今月のFENICS
2 子連れフィールドワーク(1)(椎野若菜)
3 FENICSからのお知らせ
4 FENICS会員の活躍(春日聡/本多なお)
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2. 子連れフィールドワーク(連載①)(椎野若菜)
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小学4年10歳と、ケニア調査へ行く
 
椎野若菜(社会人類学/東京外国語大学AA研)
 
 コロナ以降、3年ぶりのケニア。今回の調査は、10歳になる長男Jと2人で行こうと決めていた。
前回のケニア調査は、「ケニアにもコロナ上陸か!」というニュースがあった2020年の2月から3月にかけて、当時1歳の二男のLを連れ、ナイロビのスラムの調査に出かけたのだった(FENICSメルマガ連載:子連れフィールドワーク:一歳児と二人で ケニア編 https://fenics.jpn.org/lifevent/fieldwithkidwakana/)。  
  
私のもともとの調査地は、ケニア西部の村落である。ただヴィクトリア湖にちかいこの地域は、罹ると非常にやっかいな熱帯熱マラリアをひきおこす原虫がいる。私自身、何度も重いマラリアに罹った経験があるため、マラリア予防薬を飲むにしても幼児を日本から連れていくのは難しいと考えていた。10歳なった長男Jは体力的にも、調査旅についてこられると判断した。本人に意思を確認して日本の学校を3月2日から3週間弱休み、現地の学校も体験することとし、共に行くことにした。
  
4歳になって、物事がよく理解できるようになっている二男のLに、留守番をどう伝えるかが難題だった。早くから旅の準備を始めると大騒ぎになりかねないため、彼の寝たあと、スーツケースをみられないよう、半日でパッキングをすることになった。出発の前夜に、ママはお仕事で何日かお泊りしてくるから、パパと仲良くしていてね、と伝えた。「Lもママと行きたい!」と言ったが、いい子で待っててね、お土産に何がいいか考えておいてね、と説きふせた。だが、長男Jのことは言及できなかった。
  
Jはフライトが夜なら渡航当日も学校に行きたいといい、3時ごろ帰宅し、急いで準備してスーツケースをそれぞれにひきずり、最寄り駅へ向かった。しかし着いたとたん、私は財布を忘れたことに気づき、Jと荷物を置いて焦り走って家に戻った。すると、運よく帰宅したばかりの夫が二男の保育園の迎えに行こうとするところだった。事情を察した夫はすぐ私を車で駅まで乗せてくれた。‘I knew you would forget the important thing! (君はなにか大事なものを忘れると思ったよ!)’やれやれ、頼りない母でJも心許なかったに違いない。「J、ママは今回、十分に準備ができていないから、いろいろ抜けてるだろうな。Jがしっかりしてサポートしてね、よろしく!」とJの肩をたたき、久々のケニア調査旅で危なっかしい2人旅が始まった。 

鉄道博物館で植民地化の勉強をするJ



 

ケニアという国について改めて勉強をはじめるJ

最近の忙しく賑やかな家族4人の日常生活では、思えばJと2人で落ち着いて話すという機会もほとんどなくなっていた。旅の計画を、話す暇も十分になかった。旅の始まりにあらためて、10歳のJにアフリカを見て、発見があれば書きとめてほしいし、写真も撮ってほしい、とくに学校にはJしか行けないからね、それぞれのフィールドワークをやろう、と話した。2人でいる時間のなかで、私自身もJから多くの質問を受けることになり、30年近くも前に初めてアフリカに行ったときのこと、どのように過ごしていたかなど、まさに1990年代後半の私の原点を思い出し話すような機会にもなったのだった。
(つづく)
  
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3. FENICSからお知らせ
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NPO法人FENICSの総会と、新しく始まるシリーズ「フィールドワーク×ビジネス」(仮) のイベントを6月17日(土)で開く準備しています。
久しぶりに対面開催いたします。
詳細はおって、アナウンスしますが、日程はあけておいていただけますとありがたいです。
 
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4. FENICS会員の活躍
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1) 春日聡さん(FENICS正会員 映像人類学)
 
【歴博映像フォーラム16「ブーンミの島-沖縄県宮古諸島の苧麻文化」】
 
映画『ブーンミの島』は、コロナ禍をふくむ5年の歳月をかけて、春日さんが沖縄県宮古諸島を舞台に、苧麻(ブー)の栽培から糸を績み染めて織る人たちの営みを撮ってきたものです。
3月に行われた上映会はすぐに満席となり、別の上映会を企画していく予定だそうですが、協力者が必要です。
 
関心のある方で、ボランティアスタッフになることを希望される場合は、ぜひともFENICSのほうへご連絡ください。fenicsevent[at]gmail.com
 
『ブーンミの島』
2023年/127分
〈撮影/録音/編集/整音/監督〉
春日 聡
 
〈製作・著作〉
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
国立歴史民俗博物館
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2) 本多なおさん(長崎大学)
長崎大学の学生がケニア、ウガンダでの滞在経験をきっかけに一般社団法人を設立し、クラウドファンディングをおこなっています!
 
私たちGreeendy(グリディ)は”東アフリカの緑の恵みから日々の生活に彩を”というコンセプトのもと、東アフリカの3つの課題<雇用問題><気候変動><食糧危機>を挙げて、この解決の手段として現在クラウドファンディングからウガンダの”竹”を使ったスイーツ作りとその工房建設に挑戦しています。
私たちのこれまでのストーリーと今後の活動をぜひ温かくワクワク見守っていただけると幸いです。
共同代表 本多なお
 
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以上です。お楽しみいただけましたか?
みなさまからの情報、企画、お待ちしています。
 
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メルマガ担当 椎野(編集長)・澤柿
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