FENICS メルマガ Vol.42 2018/1/25
1.今月のFENICS
日本各地、大変な寒さ、大雪にみまわれました。みなさま、ご無事でお過ごしでしょうか。FENICS理事で6巻『マスメディアとフィールドワーカー』編者、福井幸太郎さんから今話題の、日本における新たな氷河、をめぐる報道についてお住まいの立山からご寄稿いただきましたが、「こちらは積雪深150cmに達していて、エラいことになっています。四駆じゃないと、帰宅できないレベルになっています」とのことでした。
今月は1月20日に京都大学にてFENICSサロン「子育てフィールドワーカーのロールモデルをさぐる」が開催されました。30代から80代までの参加、妊婦さんは3人、ベビーも2人、5歳児1人。登壇者のうち二人は単身赴任、2人は妊婦、パートナーの職業は5人5色。詳細はまたご報告予定ですが、回を重ねるたびにみえてくるものがあります。フィールドワーカーは概してエネルギッシュですが、ライフイベントに関わるときには、制度の整備と、やはりメンタルな助けも多く必要です。FENICSができることは何か、ひきつづき考えていきます。本号の工藤さんの寄稿も貴重です、ぜひご参考に。
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それでは本号の目次です。
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1.今月のFENICS
2.私のフィールドワーク(福井幸太郎)
3.フィールドワーカーのおすすめ(工藤由美)
4.新会員 自己紹介(金森万里子)
5.FENICS会員の活躍(小森真樹)
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1.私のフィールドワーク
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「日本国内の氷河が6つになりました」との報道について
福井幸太郎(『マスメディアとフィールドワーカー』6巻編者、自然地理学)
日本地理学会の機関誌「地理学評論」の2018年1月号に掲載された福井ほか論文で、鹿島槍ヶ岳「カクネ里雪渓」、剱岳「池ノ谷(いけのたん)雪渓」、立山「内蔵助(くらのすけ)雪渓」が現存する氷河であることが明らかにされ、日本の氷河は合計6つになりました。今回はマスメディアになるべく出ないようにしていたのですが、長野県と富山県を中心に、そこそこ、大きく報道されてしまいました。その経緯について紹介します。
1月16日、共同研究を行っていた大町市立山岳博物館(さんぱく)から、「地理学評論」の論文が昨日届いたとの連絡が、富山県立山カルデラ砂防博物館(カルデラ博)に入りました。日本海側の雪深い山中にあるカルデラ博には、まだ、「地理学評論」が届いておらず、不意を突かれた感じになりました。さんぱくには、この日、報道機関から問合せが多数あったようです。
1月17日、一部の地方紙やニュース番組で「カクネ里雪渓は氷河。国内4例目」という内容の記事やTVニュースがフライング気味に報道されました。インターネット上でも記事が出現しはじめました。この日の午後になると、取材の電話が多数かかってくるようになり、引っ込みがつかない状況に陥りました。私は今回、取材をうけていなかったのですが、NHKの夜9時のニュースを見ていたら、現場で私がGPS測量している様子がTVに写っていて、驚きました。(http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180118/0006388.html)
1月18日午前に大町市役所で、大町市長も同席してさんぱく主催で記者会見を行いました。カメラがずらっと並び、長野県内の主な報道機関は、ほぼ全部集まったようです。「地理学評論」の表紙をビデオカメラで丁寧に撮影している報道機関があり、それを見て他の報道機関も、「地理学評論」の表紙を、まるで重要な証拠書類のように撮影し始めるという、なんとも奇妙な光景がみられました。記者会見の様子は、夕方のTVニュースで長野県を中心に報道されたようです。富山県でも、「県内に新たな氷河が2つ確認」とのニュースが報道されました。
1月19日、富山県で「県内で新たな氷河を2つ確認」との記事が富山県の地方紙の一面に掲載されました。出遅れた報道機関からの問合せがポツポツありましたが、朝方で大体終息しました。
あまり目立たないようにしていたのに、結局、攻めのマスメディア、受け手のフィールドワーカーという状況を繰り返してしまいました。まあ、日本地理学会の宣伝にはなったので、良かったかなとも思っています。
2012年に日本ではじめて氷河が確認されたときには、もっと激しい報道とのやりとりがありました。その経緯については100万人のフィールドワーカーシリーズ6巻「マスメディアとフィールドワーカー」に記載されています。是非、読んでみてください。
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2. フィールドワーカーのおすすめ
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職業は「フリーランス」:保育園継続申請のための一案
工藤由美(FENICS正会員)
私には3歳半(2018年現在)の息子が一人いる。息子は生後半年から千葉市内の保育園に通っている。はじめは認可外だったが、1歳になる頃に認可保育園に入ることができた。その1年後、
・・・・・・常勤講師という立場になったことで困ったことは、保育園の継続申請だ。市町村から求められる申請書類の中には、雇用主側が記載する就労証明書が必要である。・・・・
続きは正会員限定サイトへ! http://www.fenics.jpn.org/member_only/freelance/
ライフイベントに関する情報共有には、個人情報が多く入るため、正会員(年会費1000円)の閲覧とさせていただいています。積極的なコミュニケーションをご希望の方は、ぜひ正会員に変更をお願いいたします。
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3.新入会員 紹介:金森万里子さん
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はじめまして。東京大学大学院で公衆衛生を学んでいる、金森万里子と申します。
私は獣医師で、以前北海道の道東地域にて、牛の臨床獣医師として働いていました。
毎日酪農家さんの家を回りながら、多くの時間を牛と、酪農家さんと過ごしました。
そんな中で、私自身のテーマであった「家畜動物としての牛とともに生きるってどういうことだろう」
ということが、なんとなく腑に落ちてきました。
実際にその地にいって、同じ気候のなかで、同じ空気を吸って、はじめてわかること。
そういうところが面白くて、フィールド調査をしたいと思うようになりました。
いまは、疫学・統計学を勉強しながら、農村地帯の自殺の傾向について量的な解析を行っています。
今後、実際に現地に行って、質的な社会調査を行いたい…と、計画を立てています。
FENICSの本を読んで、様々な手法を駆使してとても面白い研究をされてる方がいることを知って、私もこんな研究者になりたい、とわくわくしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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4.FENICS会員の活躍
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小森真樹さん(13巻『フィールドノート古今東西』執筆者、ミュージアム研究者・アメリカ研究)からのお知らせです。
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東京外国語大学の小森真樹(こもりまさき)です。本日は来月頭に関西で行うイベントのご紹介です。お近くの方はどうぞお気軽に足をお運びください。
この度、歴史学・フィールドワーク・アートを横断的に考えるシリーズProject Intersectionを立ち上げます。第一弾は、2018年2月4日、大阪の大正区・住之江区でフィールドワークとトークイベントを行って、大阪臨海地区のジェントリフィケーションとアートの関係を考えます。歴史学者、アーカイブズ学者、ミュージアム研究者が、歴史を素材にするコンテンポラリーアーティストたちと共に様々な観点からワイワイ意見交換する会になりそうです。アーカイブ論の最先端についてのレクチャーやアーティストトークなども見どころです。
Project Intersection
ワークショップ「Intersection I:地域・歴史・アートの狭間で」
<開催概要>
パネリスト:
藤井光(アーティスト)
原田裕規(美術家)
飯山由貴(アーティスト)
上崎千(芸術学)
モデレーター:
小森真樹(ミュージアム研究)
牧田義也(歴史学)
日時: 2018年2月3日 15–19時
会場:クリエイティブセンター大阪(名村 船所跡地)Black Chamber
大阪府大阪市住之江区北加賀屋4丁目1−55 (http://www.namura.cc/access.html)
定員:30 名(事前予約制・先着順)
料金:無料 申し込みフォーム:https://goo.gl/5Aow7S
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以上です。お知らせ、いつでもご連絡ください。発信、掲載いたします。
FENICSと共催・協力イベントをご企画いただける場合、いつでもご連絡ください。
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